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この東岸を更に下流へ行くと、上町・中町・下町のそれぞれ東西に延びる街路の延長上に石段が設けられている。上町通りのは石ではなくコンクリート製だが、その下の岩盤の上には石積の石材がゴロゴロ転がっており、もともとここに石段があったということも考えられそうである。中町・下町の石段はいずれも間知積で、約20段の平石の段が設けられている。石段の上流側は丸い角になっており、中・下町の間の護岸は乱積の石積がきれいに残っている。

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写真254 中町通りと一致した石段(間知石積)

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写真255 下町通りと一致した石段

この東岸をさらに下流に下がると、半円型石段と呼ばれる陸地から堀川に向かって垂直に下りる幅の広い石段がある。石段が護岸から堀川に出る所の両側には丸いボタもち状の石積が施されている。この石段は荷物の積み降ろしはもちろん、人の乗り降りもしていたらしく、陸には倉庫が構えていたという。△109-3.gif

写真256 半円型石段

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堀川運河の護岸は今の港大橋の辺りまで石積は残っており、特に堀川橋周辺は時代の移り変わりを断片的にとどめてきた様子が伺え、歴史的遺構も多い箇所であることが分かった。

 

注1:「油津−海と光と風と−」 P115 川俣悌助氏執筆より
注2:同上 P13 加藤堅一郎氏執筆より

 

 

 

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